ペーパークラフトに限らず、模型は実物に正確な形状であれば正しいという事にはなりません。
ホビー目的の模型は、その特徴が強調されている方が楽しく見れるからなのです。
例えば実際の艦船を実物を肉眼で見る場合は下から見上げる形になる事が多く、全体が見えない上に遠近法による歪みが大きくなります。
それが模型の場合は主に上から見下ろす視点になる事が多く、大きさも小さいので全体がよく見え歪みも小さくなります。
この事により実物では強調されて見えた細かな部分が、模型化されると全体に埋もれてのっぺりとした印象となってしまいがちです。つまり、形状を正確に再現しただけでは特徴的な部分の印象が殺されてしまい、全体的につまらないものになってしまいがちなのです。
そのため模型化に当たり特徴だと思われる部分を少しオーバー目にデフォルメして強調し、より実物に近い印象に近づける必要があるのです。
このイージス艦「きりしま」の例では、フェーズドアレイレーダーの部分を忠実に再現した場合は、ほとんど紙の厚さ程度の厚みしか無いのですが、これの立体を強調してしっかりと厚みをもたせています。他にも主砲等の艤装を若干大きく造形したり、艦橋を高めに作ったりしています。
実は形だけでなく色も同様に、実物の色をそのまま模型に着色した場合、やけに濃い色に見えてしまいます。
これは実物と模型では空間距離が大きく違うために、空気の層による光の拡散で、彩度の変化が発生するからなのです。
この写真でも遠くの山ほど色が薄く見えているのがお分かり頂けるかと思います。
模型の場合はここまで薄くなる事はありませんが、模型をカラーチップ通りに着色すると濃い色に見えてしまう理由はこれなのです。良い悪いではなく、こういう理屈もあるので色がカラーチップと違うから間違いというわけではないという事のご紹介でした。
ただし1/1スケールの模型の場合は同じ形状、同じ色にすべきなのは当然ですね(笑)。
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